休日の賑わいの中、ミナモアで最新のグルメを探索して歩き疲れた頃、開放感を求めてエレベーターで屋上へ向かいました。そこで出会ったのは、檜(ひのき)の清々しい香りに包まれた新しい社殿。
広島民が親しみを込めてミナモアの出雲大社と呼ぶその場所には、塗り替えられた景色の中で唯一、過去と現在を繋ぐ確かな物語がありました。

3度の遷座を経て見守り続ける「出雲さん(ミナモア出雲大社)」の歴史
駅ビルの建て替えやリニューアルに合わせ、「出雲さん」はこれまで3回のご遷座(お引越し)を行ってきました。その歴史を辿ると、私たちの街の玄関口が歩んできた軌跡が見えてきます。
- 1987年(初代駅ビル時代): 駅ビルの安全祈願のため、屋上にお社が建立されました。
- 1999年(ASSEへの改称時): ひろしま駅ビル ASSEへと生まれ変わる際にも引き継がれ、長年「アッセの出雲さん」として親しまれました。
- 2020年〜2025年(建て替え期間中): 新ビル建設のため、一時的に広島県府中町の「出雲大社広島分祠」へ神様が移されました。
そして2025年3月にミナモアの開業に伴い、約5年間を経て、7階のウッドデッキ広場へと再びご鎮座されました。あのアッセ時代の景色が失われ、少しの寂しさを感じる心に、この再会は静かな安らぎを与えてくれます。
主祭神は「因幡の白兎」でも知られる「だいこくさま」
ミナモアに祀られているのは、島根の出雲大社から分祀された「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」です。
「因幡の白兎」を助けた心優しい救世主としてのエピソードで知られるこの神様は、その名の「大国(だいこく)」が「大黒」に通じることから、七福神の「だいこくさま」と同一視され、福の神として広く親しまれています。多くの女神と結ばれた神話から「縁結び」の神とされるほか、息子の事代主大神(ことしろぬしのおおかみ)が「恵比寿様」であることから、親子で福を授ける存在としても信仰されています。
出雲大社独自の作法「二礼四拍手一礼」
直系の分社であるため、参拝は出雲大社独自の作法である「二礼四拍手一礼」が正式な形となります。まず深いお辞儀を2回行い、続いて柏手を4回打ちますが、この「四」には四季を通じた神様への感謝や、より丁寧な敬意が込められているといわれています。最後に深く1回お辞儀をして心を整えます。賑やかな駅ビルの中で四つの拍手の音が響き渡る瞬間、背筋がすっと伸びるような清々しさがあります。直系の分社であるため、参拝は出雲大社伝統の「二礼四拍手一礼」が正式な形です。深いお辞儀を2回行い、続いて柏手を4回打ち、最後に深く1回お辞儀をします。賑やかな駅ビルの中で四つの拍手の音が響き渡る瞬間、背筋がすっと伸びるような清々しさがありました。
檜の香りと大階段の先に広がる「ソラモア広場」
社殿の横には、広島の川の風景に欠かせない「雁木(がんぎ)」をイメージした開放的な大階段が続いています。ここを上りきった先にある9階「ソラモア広場」は、駅の上にいることを忘れるような豊かな空間です。ポケモンセンターヒロシマがプロデュースした高さ3.5mの巨大な「ギャラドス遊具」が目を引き、その足元ではクッション素材の床を子どもたちが元気に駆け回っています。約1,050㎡におよぶ広々とした人工芝エリアや、フットサルを楽しめる多目的コート、さらには約200種類の植物が彩るグラスガーデンが共存し、屋根付きのテラス席やベンチでは人々が思い思いの時間を過ごしています。時折出店するキッチンカーの軽食を手に、駅前通りの景色を眺めるひとときは、新しい駅の日常を象徴す
広島駅ビル:ソラモア広場「ミナモア(minamoa)」公式サイト
7,000人の情熱が刻まれた「感謝の記念碑」
広場を歩くと、ミナモア建設に携わった7,000人以上の方々の名前を刻んだ記念碑が置かれています。アッセ時代の景色が消えてしまった寂しさが胸をかすめますが、この碑に触れたとき、一つの確信が生まれました。
「景色は変わっても、広島を愛する心はちゃんとここに残っている」
そう感じたとき、胸の奥にあった寂しさは、誇らしい喜びへと変わりました。

空に近い場所で心を整え、檜の香りを背中に感じながらエレベーターを降ります。新しくなった広島の駅は、これまで以上に愛おしく見えました。「次はどんな出会いがあるだろう」そんな期待を胸に、私はまた広島の街へと歩き出しました。


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