西広島の駅を降りて、少し落ち着いた空気が流れる街並みを歩いていたら、思いがけない出会いで彩られることがあります。
駅前で静かに、地元の方々に愛され、大切な誰かに届けたくなる店を巡った時のお話です。
偶然の出会い
ある休日、西広島の己斐(こい)エリアをのんびりと探索していました。駅前を歩いていると、ふと目に飛び込んできた、温かみのある店構えとその雰囲気に惹かれ、吸い込まれるように中へ入ってみました。
ショーケースを覗くと、そこには彩り豊かなワッフルが20種類以上もずらりと並び、その傍らには、しっとりとした佇まいのバームクーヘンが置かれています。
「明日は家族が来る日だ」と思い出し、手土産には季節限定の桜バームクーヘンを。そして、歩き疲れた自分へのご褒美には、真っ白なクリームと赤いいちごが眩しい「練乳いちごワッフル」を選びました。
帰宅してさっそく食べてみると、まず驚いたのはその質感です。指で押すと沈み込み、離すとすぐに戻ってくるような弾力があります。口に運べば、ふわふわとした生地と練乳クリーム、いちごの酸味がちょうどよく重なり、思わず「美味しい」と声が漏れました。
食べ終わる頃、この幸福感の正体を知りたくて、私はこのお菓子の背景にある物語を少しだけ覗いてみることにしました。

創業の地、己斐で続く「しあわせ」への想い
この場所でお菓子作りが始まったのは、1994年の2月14日。広島初のワッフル専門店として、ここ己斐の地で産声を上げました。
「おいしいもので自分の身近な人たちに喜んでもらいたい」。そんな創業時の純粋な想いから、ヨーロッパ生まれのワッフルを日本で「気軽に、手軽に」食べられるよう試行錯誤を繰り返して生まれたのが、このお店の原点です。
手のひらサイズで彩り豊かなワッフルは、当時の広島ではまだ珍しく、新しい驚きとして注目されました。創業から約30年、その情熱は今も変わらず、すべてのお菓子に注がれています。
手焼きと地元の素材
驚くような質感は、創業当時の想いを受け継ぐ丁寧な工程から生まれていました。
- 丁寧な手焼き: 職人が一枚ずつ焼き上げることで、しっとりとした弾力のある「ふわふわ感」を出しています。
- 広島県産の素材: 看板商品のワッフルやバームクーヘンの生地には、広島県産の新鮮な卵や米粉を主原料として使用。自然の恵みを大切にしています。
- アイデアと季節感: 北広島町産のりんごやさつまいもなど、地元の名産品を合わせたメニューもあり、食べるたびに新しい発見と季節の喜びを届けてくれます。
主原料に地元の恵みを取り入れ、一つひとつを大切に焼くその積み重ねが、日常のしあわせを支えています。
二つの主役
「ワッフルとバームクーヘン」ここでは、それぞれに異なる魅力が詰まっています。
多彩なフレーバーで驚きをくれるワッフル達。今回いただいた「練乳いちご」のように、お馴染みの安心感と新しい発見をくれるバラエティ豊かなラインナップは、リピーターの間でも「次はどれにしよう」と選ぶ楽しみを届けてくれます。そして、素材そのものをじっくり味わえるバームクーヘンのしっとりとした佇まい。
2014年(平成26年)に広島市が認定する「ザ・広島ブランド」に選ばれており、その品質の高さがうかがえます。
「おいしさで、みんなの毎日を、もう少ししあわせにしたい」という創業以来変わらない想い。それが、訪れるたびに新鮮な楽しみと、変わらない安心感を与えてくれる理由なのでしょう。
誠実なものづくりの先にあるもの
私たちが求めているのは、派手さではなく、心まで満たしてくれるような誠実な味ではないでしょうか。
厳選された素材を使い、職人が想いを込めて焼き上げる。西広島の駅前で出会ったのは、そんな実直なものづくりの姿勢でした。
自分へのご褒美が、明日は大切な家族との笑顔に変わる。ワッフルとバームクーヘンの名店、「櫟(kunugi)」そこには、30年を超えても愛される、この街ならではの味が息づいていました。
一歩歩けば、また新しい発見がある。そんな予感とともに、これからも大好きな広島の街を探索していきたいです。
みなさんも西広島を訪れた際は、ふわりと漂う甘い香りに誘われて、暖簾をくぐってみてください。
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