【広島の魅力と記述を深堀】伝統と進化が織りなす、広島グルメの新境地🍽️

グルメ

ドアを開ければ、そこは日常のすぐ隣にある異世界へ

ずっと訪れてみたかった、路地裏にそっと佇むある一つの場所。いつもより少しだけ時間の流れをゆったりと感じられる平日の昼下がり、期待に胸を膨らませながらそのお店を目指しました。そこには、いつもの定番をちょっと飛び越えて、食べる楽しさを心の底から再発見させてくれる特別な「五感を優しく揺さぶる食体験」と、私たちが知っているようでまだ知らなかった、奥深い魅力がぎゅっと詰まっていました。

日常を忘れさせてくれる、大人の秘密基地

穏やかな住宅街の風景に溶け込むように佇む、そのお店の扉をそっと開けてみる。するとそこには、日々の忙しさやせわしないノイズをすうっと消し去ってくれる、愛おしい世界が広がっています。

店内に一歩足を踏み入れて、まずときめくのは、壁一面をのびのびと彩るアーリーアメリカン調のフラッグや雑貨たち。どこか懐かしいフィギュアのコレクションやレトロなポスターがセンスよく散りばめられていて、まるで大切な宝箱をそっと開けた瞬間のよう。時に「猫店長」のしじみちゃんが愛らしい姿を見せ、そっと心を和ませてくれるこの空間は、木目調の温かみがある和の情緒と、店主の「好き」がぎゅっと濃縮されたヴィンテージカルチャーが不思議と調和する、まさに遊び心を忘れない大人のための秘密基地です。

一皿が運ばれてくるのを待つ間、店内のディスプレイをのんびり眺めたり、インスタ限定で「月刊混人」として発信されている店主様のエッセイのような言葉、そして日々のはっとするような気づきに思いを馳せたり。ここで過ごす時間は、決して退屈な「待ち時間」なんかじゃありません。むしろ、これから始まる未知の食体験へのわくわく感を心地よく膨らませてくれる、この場所だからこそ出会える贅沢な始まりの時間なのです。

創業時から変わらない、唯一無二の軌跡

この場所で出会えるのは、欧風カレーや一般的なインドカレーの枠組みにとらわれない、独自の自由なアプローチを施した唯一無二のスパイスカレーです。2020年前後の営業開始から、ここ矢賀新町の地で「ワンスパイス(ONE SPICE)」として真っすぐに育まれてきた一皿は、小麦粉をいっさい使わず、無数のスパイスと素材の旨味だけで丁寧に構築されており、一口ごとに新鮮な驚きと喜びを運んできてくれます。

何より素晴らしいのは、この工房が最も大切にされている「五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)」の絶妙なバランス。 お皿の中心に目を向けると、まず目に飛び込んでくるのは、パリパリとした長崎皿うどんを思わせる極細の揚げ麺。その上には卵黄や風味豊かな薬味が美しく重ねられており、器を彩る薬味の一つひとつに、独自の「混伽俚(まぜかりー)」の世界観を創業時から大切に守り続けてきたお店の歩みと、自らを「現役加齢人」と呼ぶ作り手の温かい情熱がそっと息づいています。

スプーン選びから始まる、自分だけの五感の旅

ここで味わえるのは、単に「お腹を満たすための食事」ではありません。席に着いた瞬間から食後の愛おしい余韻に至るまで、まるで一つの物語のように紡がれる、かけがえのない“体験”そのものです。

驚くことに、食事はまず「これから使うスプーンを自分で選ぶ」という、お茶目な遊び心から始まります。形や厚み、長さの異なるスプーンたちから「今日の相棒」を直感で選ぶ楽しさは、他ではなかなか味わえません。さらに、店主自らがその日の一皿の構成やこだわり、おすすめの食べ方を丁寧に語りかけてくれる優しい前説があり、食べる側の期待感は心地よく最高潮へ。

器が運ばれてきたら、待ちに待った「混ぜ合わせる」瞬間の始まりです。 今回選んだのは、大人気のパリパリ揚げ麺スタイルである「混麺(まぜめん)伽俚」。辛さは、心地よい刺激とスパイスの奥深いコクをダイレクトに堪能できる「3辛」のセレクトです。

一口ごとにスプーンですくう具材の比率によって、甘くなったり、酸っぱくなったり、香ばしくなったり。口に運ぶたび、五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)がドラマチックに重なり合っていきます。小麦粉を一切使わないルーからは、玉ねぎの甘みと旨味、じっくり炒めたスパイスの奥深いコクとほのかな苦味が広がり、そこへひき肉や鶏肉のジューシーな塩気、そして中央の卵黄を崩すことで生まれるマイルドな甘みが全体を優しく包み込みます。さらにしっかりと混ぜ合わせると、すりおろしエシャロットのピクルスが弾け、爽やかな酸味が心地よいアクセントとして全体をすっきりと引き締めてくれるのです。

さらに、この「混麺伽俚」ならではの音と食感の変化が、食べる楽しさをどこまでも加速させます。 前半は、極細の揚げ麺に京都の九条ネギ、シャキシャキとした食感の玉ねぎやフライドオニオンが絡み合い、口の中で「ザクザク」「シャキシャキ」と心地よいハーモニーを奏でます。それが後半になると、スプーンで底から混ぜ合わせるうちに揚げ麺がスパイシーなスープをじんわりと吸い込み、「しっとり」とした一体感のある食感へと変化。すべての具材が完全に溶け合う感動が待っています。

オーナーさんがお一人で調理から接客まで切り盛りされているお店だからこそ、混雑時は料理の提供まで少し時間がかかることもあります。けれど、それすらもこれからの贅沢な時間の始まり。平日のランチタイム、当日分のご用意がなくなり次第終了となるため、確実に食べたい方は事前の予約をして、ぜひ時間にたっぷりと余裕を持って訪れてみてください。待つ時間も含めて、その先にある一皿をゆったりと楽しめる方にこそ、訪れる価値がある特別な空間です。

そして食事の締めくくりには、スパイスの刺激で心地よく熱くなった口の中を癒やす、完璧な味のストーリーが完結します。セットの濃厚でとろりとした自家製ラッシーが辛さを優しく包み込み、最後にほんのり甘いパンケーキのデザートを味わうことで、「強烈なスパイスの刺激」から「優しい甘みの癒やし」へと見事な着地を見せてくれるのです。

一皿の感動を胸に、さらなる街の誘惑へ

今回ご紹介した、五感を心地よく揺さぶる体験型スパイスカレーの正体。それこそが、広島市東区矢賀新町で多くのファンを魅了し続けているスパイスカレー専門店「ワンスパイス(ONE SPICE)」です。トランプをあしらった遊び心たっぷりの「前日券」を握りしめてでも訪れたくなるその魅力は、間違いなく今の広島グルメの素敵な「進化」を象徴しています。

定番のお好み焼きや牡蠣の美味しさをしみじみ再確認する旅も素敵ですが、こうして路地裏で独自のこだわりを真っすぐに爆発させているお店に出会うと、この街の食のポテンシャルの高さに改めて胸がときめきます。一つの名店を知ることは、その奥に広がる新しい食文化への扉をそっと開けること。

一皿の感動でお腹も心もあたたかく満たされた後は、オーナーさんの丁寧で温かいおもてなしの余韻をまといながら、これからも無理のないペースで、長く続けていただきたいなと心から応援したくなります。そんな温かい気持ちを胸に、まだ見ぬ美味しい出会いを求めて、これからも大好きな広島の街を探索して行きたいです。


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