【広島の記録を深掘り】被爆の痕跡と復興の歩みを今に伝える「旧日本銀行広島支店」

平和

広島市中心部の中区袋町に佇む「旧日本銀行広島支店」。重厚な石造りの外観はもちろん、一歩館内に足を踏み入れれば、至る所に残る被爆の痕跡や当時の窓口表示、復興の歩みを伝える解説パネルが静かに当時の事実を伝えています。

爆心地からわずか380メートルという至近距離にありながら倒壊を免れた代表的な被爆建物であり、被爆直後から街の復興を支えた明確な記録が今も残されています。

今回は、現地を訪れて実際に体験してきた内容をご紹介します。


建物自体が語る爆心地380mでの出来事と復興の記録

館内に足を進めると、この建物の成り立ちや被爆当時の惨状を伝える展示コーナーや解説パネルが設置されています。

展示ケースには、爆心地からわずか380mという至近距離で被爆した直後の建物周辺の写真や、営業所敷地内から発掘された被爆時の屋根瓦・飛散した石などの実物資料が展示されています。周囲の建物が壊滅的な被害を受ける中で残された写真や実物資料からは、爆風や熱線の凄まじさがダイレクトに伝わってきます。

また壁面の解説パネルには、1936年(昭和11年)に袋町へ新築移転した際の経緯や、補強コンクリート造(一部鉄骨造)という強固な構造、1階営業室をはじめとするフロア配置が当時の写真とともに詳しくまとめられています。

この強固な建物構造があったからこそ倒壊を免れ、被爆わずか2日後の8月8日には瓦礫を片付けて営業を再開することができました。多くの行員が被害を受ける厳しい状況の中で「広島の経済を止めない」と街を支えた足跡が、展示されている写真や資料から客観的な事実として確認できます。

世界で今なおさまざまな情勢が続く現代だからこそ、この場所で遺構や展示資料と直接向き合うことには大きな意義を感じます。


展示パネルや表示から読み解く館内の構造とディテール

館内の各所に残る文字表示や説明パネルに注目して歩みを進めると、当時の銀行機能や被爆の凄まじさをより具体的に確認することができます。

① 窓口カウンターに残る銀行機能の文字表示

1階営業室の大理石カウンターには、「査貼・拾領」「為替受取」といった当時の案内表示が文字としてそのまま残っています。どのような手続きがどの窓口で行われていたのか、現地で間近に見ることで当時の窓口の様子がはっきりと目に浮かんできます。

② ガラス破片の痕跡を伝える壁面パネル

室内に設置された「今も残る被爆の痕跡」というパネルには、爆風で飛散した窓ガラスの破片が木製の壁(チーク材の化粧板)に突き刺さった痕跡について解説されています。実際の壁に残る傷とパネルの解説写真を目の前で見比べることで、当時の爆風の威力が客観的に伝わってきます。

③ 古典主義様式の建築構造を伝える1階営業室

1階営業室の吹き抜けを見上げると、二層抜きの角柱や天井の梁構造など、古典主義様式特有のデザインが広がっています。空間の広がりや重厚な造りは、現地に立って見上げてこそ深く確かめられる要素です。

④ 巨大な丸型金庫扉と構造を示す地下展示パネル

地下へと続く階段を降りると、圧倒的な存在感を放つ「地下金庫」が現れます。アメリカのYORK(ヨーク)社製の巨大な丸型金庫扉の仕組みや平面図、非常用のマンホール型出入口など、当時の技術が詰まった構造を間近で確認できます。

⑤ 現金保護の厳重さを物語る地下通路と鉄格子

地下通路には堅牢な鉄格子扉が設置されており、かつて現金や重要書類が厳重に保管されていた仕組みを今に伝えています。ひんやりとした地下の空気感とともに巡ることで、当時の厳重な保管体制をより深く実感できます。


現地に遺された客観的な記録と向き合い、平和の尊さについて考えてみませんか

旧日本銀行広島支店は、館内に残る被爆の痕跡や説明パネル、当時の資料といった客観的な事実を通して、当時の記録と復興の歩みを静かに伝えてくれる貴重な被爆遺構です。

文字や写真で見るだけでなく、重厚な建物の中に立ち、そこに残る傷や静かな空間と直接向き合うことで、改めて感じ取れる言葉や思いがあります。

広島を訪れた際にはぜひ「旧日本銀行広島支店」へ足を運び、現地に留められた記録と対峙しながら、平和の尊さについてもう一度、深く巡らせてみてはいかがでしょうか。

【施設に関する詳細・公式情報はこちら】


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