
青空が広がる休日の昼下がり、広島市中区の十日市・土橋エリアを歩いていました。かつて西国街道が通り、路面電車がのんびりと行き交うこの界隈は、新旧の個人店が点在していて歩くだけでも面白い場所です。
今日の目的地は、そんな街の路地裏にひっそりと佇む「小春カフェ」。横川からバスに揺られて十日市で降り、風情ある街並みを眺めながら店へと向かいました。

扉を開く前の楽しみ黒板の手書きメニュー
お昼時ということもあって店頭には何組か待っている人がいましたが、黒板に書かれた手書きのメニューを眺めながら「何にしようかな」と考える時間も含めて、のんびりとした雰囲気が漂っていました。

しばらくして席が空き、丁寧な接客で案内していただきました。その心温まる対応に、席につく前から胸が和らぎます。
昭和の面影が残る空間
2013年9月にオープンしたという店内は、「昭和の台所」という言葉がしっくりくる落ち着いた空間です。テーブル席とカウンター席が用意された温かみのあるフロアには、優しい明かりを灯すペンダントライトの下で軽やかなBGMが流れています。


ふと壁に飾られた愛らしいパグの絵に目を奪われたり、レコードやヴィンテージの小物、整然と並ぶ本を眺めたりしながら、案内されたカウンター席に座ってゆっくりと店内を見渡していました。

モザイクタイルのカウンター越しに趣のある調度品を眺めていると、慌ただしい日常からすっと離れて、穏やかな心地よさに包まれていきます。
小鉢が並ぶ「小春定食」と優しいお味噌汁
周りのお客さんが食べている定食に惹かれ、今回は小鉢がいくつか付く「小春定食」と、食後のデザートに気になっていた「クリームぜんざい」を一緒に注文しました。運ばれてきたお盆の箸袋には「ごゆるりと…」という手書きの文字が添えられていて、店主の細やかな心遣いに思わず心が和みます。

お味噌汁をひと口飲むと、どこか懐かしくほっとする味わいが広がります。主菜の「ゆで鶏のしそ醤油」は、しっとりとした鶏肉に香ばしい胡麻と大根おろし、そしてさわやかなしそ醤油がかかっていて、ご飯が進むおかずでした。ひじきや青菜といった副菜も含めて、日々の食事にしっくり馴染むような優しいバランスに、嬉しくて思わず笑みがこぼれました。
食後の楽しみ 味わい深い「クリームぜんざい」
定食でお腹を満たした後は、一緒に頼んでいた「クリームぜんざい」をいただきます。
グラスの縁までたっぷり、美しく盛られた姿が目を引きます。スプーンを入れるとアイス?ソフトクリーム??ジェラート???とも違う独特のふんわりとした口当たりで、小豆の素朴で上品な甘みが広がります。後味にふわりと残る清涼感もあり、「またすぐにでも食べたい」と思わせてくれるとても印象的なデザートでした。


あとから知ったことですが、実はこのクリームぜんざい、かつて広島駅前の再開発に伴って惜しまれつつ姿を消した名店「甘党たむら」の伝統を受け継いだものなのだそう。驚くことに、味の要となる攪拌機は戦後からずっと使われ続けている現役のもので、なんと世界にたった1台しか存在しない非常に貴重な機械なのだとか。
今やここでしか味わうことのできない幻の味。その奇跡的に残された機械と手仕事に支えられていることを知り、あのとき口にした一杯の味わいがより一層深く心に残るものとなりました。
穏やかな余韻を胸に 十日市・土橋の街歩きとともに

オープン以来、地元の人々や訪れる人々に親しまれ続けている小春カフェ。
丁寧であたたかな接客に包まれながら、丁寧に作られた定食をいただき、思いがけず広島の懐かしい記憶と食文化に触れる――そんな飾らない時間が、日々の忙しさで少し固くなっていた気持ちを優しく解きほぐしてくれるようでした。
かつての城下町や問屋街の風情が今も残る十日市・土橋エリア。歴史を感じさせる街並みや路面電車が行き交う風景を散策しながら、ぜひこの温もりあふれる路地裏のカフェへと足を運んでみてください。あたたかな空気と美味しい時間が、静かに待っています。
店舗情報・アクセス
| 店名 | 小春カフェ |
| 住所 | 広島県広島市中区榎町11-1 石田ビル 1F |
| アクセス | 広島電鉄 土橋電停下車 徒歩3分 土橋駅から154m |
| 営業時間・定休日 | 月・火・水・金・土 11:30~16:00 木曜日・日曜日定休 ※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
| 食べログ | https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340119/34018797/ |


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